【高校 政治経済13】内閣について詳しく解説

政治経済(高校)

前回は、国会について扱ったわけですが、今回はそれと密接に関係していますよ、と説明していた「行政」ひいては「内閣」について説明したいと思います。実は今使われている政治経済の教科書というのは、だいたい3・4年前までの情勢を元に記述されています。ただ近年かなり情勢が変動してきていますので、そこらへんも含めて説明していこうと思います。

議院内閣制での内閣とは

内閣は行政府の最高機関であり、国の政策を立案・実行する役割を担っています。日本における立法府である国会と密接な関係で運営されているため、(法令上は異なるけれども)一体的な運営をされているなんていう話がよくありました。

ただ2024年の衆議院選挙以降与党(=自民党・公明党)の勢力が弱くなり、だんだんと政治の運営は行政から立法に移りつつあります。ですのでそこら辺については教科書の記述に付け加えていく形で説明していこうと思います。

議院内閣制の特徴

議院内閣制は、立法府(国会)と行政府(内閣)の間に密接な関係を持たせる政治制度です。この制度には主に四つの特徴があります。まず、内閣は国会に対して連帯して責任を負い、国会で不信任決議案が可決された場合には、内閣は総辞職するか衆議院を解散しなければなりません。

次に、内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれなければならず、これにより民主的に正統性が確保されます。さらに、国務大臣の過半数は国会議員から選ばれる必要があり、これによって内閣と国会の協力関係が強化されます。また、内閣(実質的には内閣総理大臣)は衆議院を解散する権限を持っており、これは内閣が国会に対して持つ重要な権限の一つです。

詳しくは以下の記事で説明しています。

内閣の構成

内閣は、内閣総理大臣(首相)と国務大臣(閣僚)によって構成されています。憲法66条によれば、内閣総理大臣は内閣の首長であり、他の国務大臣を任命する権限を持っています。

内閣の主な構成要素は以下の通りです。

内閣総理大臣:国会の議決で指名され、天皇によって任命されます。行政権の最高責任者として内閣を率います。

国務大臣:内閣総理大臣によって任命され、各省庁の責任者として行政を担当します。憲法では、その過半数は国会議員から選ばれなければならないと定められています。

内閣官房長官:内閣の事務を統括し、政府の広報官的な役割を担います。

副大臣・大臣政務官:各省庁で大臣を補佐する役職で、主に国会対応や政策調整を担当します。

内閣の権限と機能

内閣の権限の根源は「行政権」の掌握にあります。つまり国会が制定した法律を具体的に執行する権限が内閣にすべてあるということです。まあ内閣が直接執行することはほとんどなくて、内閣の下に設置された省庁などが基本的に代わりにやります。

そのほかにも内閣から法律などが国会に提案されることもありますし、予算案は内閣から提案されることになります。

内閣総理大臣の地位と権限

内閣総理大臣は、日本の行政府のトップに君臨しますから、内閣総理大臣の地位と権限を理解することは、日本の政治システムを理解する上で不可欠です。

内閣総理大臣の地位

内閣総理大臣は基本的に与党の党首が就任します。現に現在の内閣総理大臣は、自由民主党総裁の石破茂です。この内閣総理大臣は内閣の首長として、行政全般を統括する最高責任者です。

なぜ与党の党首が内閣総理大臣になるのかというと、内閣総理大臣は国会での選挙で決定するからです。国会での選挙で決定するから自ずと国会で最も権力を持っている人が内閣総理大臣になるというカラクリになっているわけです。

内閣総理大臣の権限

内閣総理大臣は日本の行政権の最高責任者として、憲法と法律に基づく強力な権限を有していて、以下のような強力な権限を持っています。

内閣の首長として、内閣を代表し閣議を主宰する権限があり、国務大臣の任免権を持ち内閣の構成を決定できます。また、行政各部を指揮監督する権限を持ち、各省庁の活動を統制します。

政治的に重要な権限として、内閣を代表して衆議院を解散する権限や、法案を国会に提出する権限があります。さらに、自衛隊の最高指揮権者としての地位を持ち、国際関係においては日本を代表し、外交政策の方向性を決定する権限も有しています。

強大な権力を用いて内閣総理大臣は日本の政治を司っているわけです。

行政権の優位と官主導社会の転換

近年の情勢は最初に述べたように改善してはいますが、日本政治の特徴として扱うことにします。行政権は昔かなり優位に働いていました。その背景には、自民党がかなり長い期間安定的に政権を握っていたことです。それにより政治家から求められることが、同じだったことが挙げられるのではないでしょうか。

行政権優位の背景

日本の政治システムでは、立法・行政・司法の三権の中でも、長らく行政権が優位な状態が続いてきました。この「行政権の優位」は、戦後日本の政治経済構造において重要な特徴となっています。

戦後、日本の急速な経済成長を支えたのは、強力な官僚制度でした。例えば経済企画庁(現在の内閣府の一部)や通商産業省(現在の経済産業省)などの官庁が産業政策を主導し、「日本株式会社」とも称される官民協調の経済発展モデルを構築しました。

日本の行政権の優位性は主に四つの側面から特徴づけられます。まず、法案提出において実質的に官僚が原案を作成し、国会に提出される法案の約80%が内閣提出法案という形を取っています。次に、予算編成においても財務省を中心とする官僚機構が実質的な決定権を握っており、政策立案においては専門知識と情報を豊富に持つ官僚機構と、それらを十分に持たない国会議員との間に能力差が存在しています。

さらに、法的強制力はないものの事実上強い影響力を持つ行政指導の慣行があり、これによって官僚が社会や経済に大きな影響を与えてきました。これらの要素が組み合わさることで、日本では長らく行政権が優位な政治構造が維持されてきたのです。

官主導社会の特徴と問題点

官主導社会とは、官僚機構が政策決定や社会運営において主導的役割を果たす社会構造のことを指します。官主導社会は次のような特徴があります。

  • 護送船団方式:業界全体を守るために、最も弱い企業にも配慮した規制が行われる
  • 天下り:官僚が退職後に関連団体や民間企業に再就職することで、官民の癒着が生じる
  • 縦割り行政:省庁間の連携不足により、総合的な政策立案や迅速な対応が困難になる
  • 透明性の欠如:行政過程における意思決定が不透明で、国民からの監視が困難
  • 政策の硬直化:前例踏襲主義により、社会環境の変化に対応しづらい

これらの問題点は、高度経済成長期には経済発展の原動力となった一方で、バブル崩壊後の長期停滞や国際競争力の低下の一因となったとも指摘されています。

行政改革と政治主導への転換

1990年代以降、官主導社会からの転換を図るため、様々な行政改革が実施されてきました:

  • 中央省庁再編(2001年):1府22省庁から1府12省庁へと再編し、省庁間の壁を低くする試み
  • 規制改革:過度な規制を緩和し、市場原理を導入することで経済の活性化を図る
  • 情報公開法の制定(2001年):行政文書の公開を義務付け、行政の透明性を高める
  • 政治主導の強化:大臣、副大臣、政務官などの政治任用ポストの拡充
  • 内閣機能の強化:内閣府の設置や内閣官房の拡充により、首相のリーダーシップを強化

特に2009年の政権交代時に掲げられた「政治主導」の理念は、官僚制度に過度に依存した政策決定から、選挙で選ばれた政治家が責任を持って政策を決定する仕組みへの転換を目指すものでした。現在も行政改革は頻繁に行われているものの、まだ改革は道半ばといったところでしょう。

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