というわけで始まった「日本政治」をどこよりもわかりやすく解説するシリーズです。大学の講義名でいう「日本政治論」などに対応します。なお現代の日本政治史については、後続するシリーズ「現代日本政治史」に譲ることにします。
今回は、これまでも自民党の不正献金問題や、よくニュースなどにも出てくる「圧力団体」とは私たちの生活とどのように結びついているのかについて詳しく説明していきます。
日本政治を動かしているのは誰か
この問いに答えるために必要な概念が「主権」という概念になります。日本は知っての通り「国民主権」を取り入れていますから、理論的に考えるならば「日本政治」を動かしているのは「国民」ということになるのは知っての通りでしょう。
しかしながらそれだけでは、日本政治を語るのは非常に困難です。というのも現代において「国民」は選挙に行かなくなりました。下図をご覧ください。

これは総務省が集計した、これまでの国政選挙の投票率です。そしてこの資料が公開された後に実施された衆議院選挙は55.85%の投票率でした(速報値)。
そもそも論として、有権者の2人に1人は選挙に行かない時代になったのです。そのような状態になった選挙を媒介した政治家によって、日本政治が運営されている。その事実に直面した時、冒頭の答えを堂々と言い張ることはできるのでしょうか。
選挙の強大な武器ー「圧力団体」
日本の選挙方法については後ほど説明するとして、効率的に選挙戦を制する方法を考えましょう。例えば、1人を説得すれば100の票が入る団体があればどうでしょう。説得に使う労力が100分の1に減ることになりませんか?
そのような団体を「圧力団体」とか「利益団体」と言います。教科書的な説明をするならば、一定の利益達成のために(ある政策を実現するために)、協力する団体のこと、と定義できるでしょう。例えば有名な例として、日本医師会があります。日本医師会は医師が加盟する団体で、主に医療関係(特に医師)についての政策を提言する圧力団体になっています。ちなみに、この語源は政治に圧力をかけること、政治で一定の利益を得ようとすることからきています。
この「圧力」をかけることは、一般に「悪いこと」とはなりません。それはなぜでしょうか。この質問に答えるには、「圧力団体」を分類して考える必要性があります。
[圧力団体1]「物質志向」型の団体
圧力団体をどのように組成するかにより、圧力団体は分類することが可能です。ということでまず、構成員の性質に着目して組成された団体を「物質志向」型の団体と言います。それこそ前掲した、日本医師会が最たる例です。
この団体は非常に巨大になりやすいことが特徴的です。医師は医師で構成するわけですから、人口も自ずと大きくなっていくことは明らかであると思います。ちなみに資金力も非常に強大です。団体人口が多くなるわけですから、それだけ団体は会費という手段を用いて、稼ぐことができるわけです。
なお日本医師会の他にも、経団連(日本経済団体連合会 大企業の社長で構成される)などがこの団体に分類されます。
[圧力団体2]「価値志向」型の団体
物質志向型の団体は古くからありました。それはやはり人間は似たもの同士で集まりやすい、という習性からくるものと考えることができます。
しかしながら、現代社会において違う性質の団体も政治に大きな権力を持っています。それが「価値志向」型の団体になります。これは同じ意見を持っている人が、集まって団体を作りましょう、とやって形成される団体になります。これはいくつもある、というのと新陳代謝が非常に激しい種別の団体になってますので、具体例を挙げることが至難の業になってしまいます。
ただ一般に「人権団体」と言われるような団体に関してはこちらに分類されることになります。その「人権団体」に絞った話には当然なってしまいますが、最近はウェブでの署名活動を実施するような人権団体も出現しています。
これらのことから、「価値志向」型の圧力団体による政治活動は新たな局面を迎えていると言えます。
「圧力団体」ではない団体による活動
前章で「圧力団体」とはどのようなものかを定義しました。しかしそこまで行かなくても政治活動がありますから、そちらについて整理することにしましょう。
社会運動
教科書的には「利益集団と利益団体の中間的な形態」と定義されます。この団体の名称通り、社会問題を解決することを目標としている形態、もっと団体という言葉を使用したいならば、社会問題を解決することを目標とした集合的な運動、と定義することも可能でしょう。
社会運動に関する最近の例で言うならば、「反原発運動」です。2011年の福島第一原発以降に日本のあちらこちらで、デモ活動などが行われていることについては改めて説明するまでもないでしょう。
労働運動
日本ではあまり聞き馴染みのない言葉ですが、欧州各国ではかなり盛んに行われている活動になります。いわゆるストライキなどが、この「労働運動」に該当します。労働者の待遇の改善などを目標にした団体運動となります。前言した欧州各国においては、議会において強大な権力を持っています(いわゆる圧力団体と同じ経路を用いています。詳しくは後述。)。
圧力団体のさまざまな活動
圧力団体は、選挙で大票田となるだけではなく、無党派層などにも働きかけた活動をしようとします。そのさまざまな活動を紹介します。
ロビー活動
例えば次のような状態を考えましょう。あなたは消費者団体の代表だとします。ある日政府は、消費税の増税をする予定だと発表しました。この時あなたはどのような行動を取るでしょうか。
この時に一番直接的に阻止する行動として、政治家にあってやめてもらおうと訴えると言う方法があります。このような活動をロビー活動と言います。しかしながら、このような反応を起こすことを組み入れたならば、そもそもこの活動をしなくても良い、と言う場合があります。つまりロビー活動の活発さと、団体の影響力は必ずしも比例しないこともあるわけです。
アドボカシー活動
ロビー活動の最初で投げかけた問いには次のような解答もあります。世論に呼びかけると言う方法もあります。そのような活動を「アドボカシー活動」と言います。具体的には署名活動やデモ行進などがこのアドボカシー活動に該当します。
ここまで圧力団体の活動について紹介してきました。次回は日本と圧力団体が及ぼす影響について考察していきます。


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