これまでの2回で団体による政治についての基礎知識、そしてこれまでのあゆみについて説明してきました。今回はそれを受けてそれらの政治的権力について分析し、それらは日本政治とどのような関係性を構築しているのかを説明していきます。
なぜ人は群れるのかー団体政治で享受できる利益
ここではややしつこくなりますが、復習的に団体政治は誕生するのか、それによってどのような利益を獲得できるのかを確認していきます。
理論的には
理論的にはやはり、同じような政治的意見を持っている人は群れて団結して戦ったほうが、多数決の権力的には利益を獲得できる可能性を高めることができるのは事実です。したがってこれまで述べてきた通り、さまざまな「生産者団体」とかという団体が生まれてくるわけです。そしてその理由は「多数決の性質」で説明できるでしょう。
制度的には
ここで、理論的にはこうだったよね、という話に加えて、「制度的に」利益を享受できる場合があることを紹介しましょう。やはり社会的信用を得やすいというのが最大の利点にはなります。例えばある団体がNPO法人とかの法人格を獲得すれば、やはり社会的には「国も認めた団体」というような見方となるわけです。つまりそれが社会的信用にもつながるということになります。
そしてロバート・ペッカネンという政治学者によれば、団体の名称で銀行口座などを開けるようになるから、団体経理を明瞭にしやすいという利点もあります。つまるところ、制度的にも団体の運営基盤を安定させやすくなるため、活動が円滑になり拡大することが容易になるのです。
「団体政治」の効果と日本政治の関係性
ここではもう新しい内容を扱うことはありません。これまでを総括して「団体政治」の権力と日本政治との現代における関係性について考察して、団体政治編は終わりとします。
日本政治の性質
一応このシリーズでは「日本政治の性質」を特論的に分析することで、より政治理論などを明らかにすることも目標にしてますから、ここで「こうです!」と明らかにすることは目標としませんが、やはり「官僚」の権力が強く、行政権を握っていることは明らかです。
そのような日本政治において、「団体政治」のどのような団体が有利かということは、間違いなく「経済団体」でしょう。これはやはり自民党の支持基盤というのが最大の原因です。そして自民党は一部の例外を除いて戦後ずっと政権を握ってきているののですから、権力が強くなってしまうことは自然なことです。
「利益団体」の「対立」
利益団体は対立します。というのも例えば今話題の最低賃金なんか、一番いい例でしょう。政治らしい現場で決まったことではないですが、一番わかりやすい例なのでここで扱います。
最低賃金は公益側・使用者(経営者)側・労働者側が同数となる審議会で話し合われます。このような構図は、「経済団体」と「労働組合」とそれをよりマクロに見る学者というようになっています。ここで話し合って着地点を探していくのです。そしてその背景にはそれぞれ違う思惑があるのです。
このように「利益団体」の対立がどうしても発生していきます。より一般的な政治の場であるなら、政治家がこれらを調整していくという構図になります。
「団体政治」と「日本政治」
これらの団体政治は日本政治に深く関与している、このように結論づけられます。選挙をすれば各政党のバックには「利益団体」がわんさかいます。これらが良いこと・悪いこととはここでは評価することはしません。
しかし市民レベルで考えた時、フランスの政治家トクヴィルは19世紀に、これらのような利益団体・圧力団体を「民主主義の学校」であるとしました(地方自治についてのブライスの言葉と一緒です)。市民が政治に関わるための手段である「選挙」はいつもいつもされるわけではありません。そのような中で「利益団体」の中での利害の調整などの過程は「民主主義」を担う人を育てる上で非常に重要である、としたのです。
このように毎日の報道の裏側にはさまざまな「圧力団体」がいるわけで、選挙の部分などで詳しく扱っていきますが、彼らの言う事も政治家は耳を傾けていかなければならない。つまり自分勝手に政策を展開していくことは事実上できないのです。彼らとの調整を経なければ政治をしていくことはできない、このような視点を導入した上で、有権者として団体政治を観察・分析していくことが大切なのではないでしょうか。

コメント