今回から何回かに分けて日本国憲法で保障されている権利について解説していきます。政治経済という科目で一番重い分野になりますから、ゆっくりされどさらっと学習していきましょう。
自由権という権利
自由権は、国家からの不当な介入を受けずに個人が自由に行動する権利です。これは憲法で保障された基本的人権であり、「公共の福祉」による制限を受けることがありますが、国家権力による恣意的な制限はできないものとされています。よく聞く「公共の福祉」とは、誰か1人の権利を保障することで、多数の人の権利を侵害する状態になることを指します。具体例として、自由権からは離れますが、ある人の家が建っている場所に幹線道路を通すと、何万人もの人の通行が便利になる。こういう状況の時に、土地の収用と言って、所有者が拒否しても強制的に行政が買い取ることを許しています。
つまり政治というのは、より多数の幸福を実現することですから、一人の幸福か・多数の幸福かという天秤にかけながら政治は行なっていくものであると考えているのです。
具体的な自由権保障
ここでは憲法の条文別に分類して考えることにしましょう。
精神の自由
精神の自由とは簡単に言えば、何を考えても自由、ということになります。ただ精神の自由にも何種類かありますので、分けて紹介していきます。
思想・良心の自由(第19条)
自由に思考を持ち、信念を抱く権利となります。内心の自由は絶対的に保障され、外部に表明されない限り制限されません。実は日本国憲法である意味最重要とされているのが、憲法19条であるとされています。なぜかというと、この自由を保障しなければ次は、政党の自由、果ては独裁政権につながってしまうという指摘がある為です。
ここで教科書で扱われる有名な判例が、「三菱樹脂訴訟」というものです。この訴訟ではある学生が三菱樹脂という会社の入社試験を受けて採用になりましたと。で、実はこの学生が、学生運動に関わっていたと会社に後からバレて、本採用を拒否(もっと簡単に言えば、コイツ求めてた人材じゃないからいらない、クビ)したわけです。もちろんこの学生ブチギレて、「法廷でお会いしましょう」としたわけです。
信教の自由(第20条)
自由に宗教を選び、信仰する権利のことです。同時に「政教分離の原則」も定められていて、国家と宗教は分離されていなければならないとされます。より簡単に説明するならば、ある宗教に国家が土地をあげるなんていうことはやってはいけないことです。公平性に欠けるという側面がありますが、それよりも捉え方によっては国家が宗教に寄付しているという捉え方ができます。その捉え方をした場合「政教分離の原則」には反することを意味します。また政府の要職が戦没者などを祀る靖国神社に参拝することは、政教分離の原則に反する、とされる「靖国神社参拝問題」も信教の自由に関連してあります。
集会・結社・表現の自由(第21条)・学問の自由(第23条)
集会・結社・表現の自由とは、自由に集まり、組織を形成し活動する権利のことです。意見を自由に述べて議論することは民主主義の基礎と位置付けられますから、非常に重要な権利とされます。また、学問の自由とは、自由に学問を研究し、教育を受ける権利ということになります。なお「検閲」は同21条2項により、「禁止されています」。戦前に検閲により、民主主義が弾圧された苦い過去がある為です。
経済的自由権
職業選択の自由(第22条)
自由に職業を選択し、経済活動を行う権利です。ただし、以下のような場合は公共の福祉を考慮して、制限されることとなります。
- 医師や弁護士などの資格制度
- 風俗営業等の規制
- 独占禁止法による営業規制 これらは公共の福祉に基づく制限として認められています。
財産権の保障(第29条)
私有財産を持ち、それを自由に使用・収益・処分する権利です。ただし、公共の福祉に配慮して、以下のような制限があります。
- 土地収用法による私有地の収用(公共事業のため)
- 相続税や固定資産税などの課税
- 建築基準法による建築制限
人身の自由
人身の自由は、私たちの身体と行動の自由を守る重要な権利です。特に刑事事件において、警察や検察による不当な逮捕や取り調べから市民を守るため、憲法第31条から第40条で詳しく規定されています。
この権利の中心となるのが「令状主義」です。これは、警察が誰かを逮捕したり、家を捜索したりする場合、必ず裁判官が発行した令状が必要というルールです。また「罪刑法定主義」により、法律で「これは犯罪です」と明確に定められていない行為を罰することはできません。
さらに、被疑者・被告人には以下のような権利が保障されています。
- 自分に不利な供述を強要されない「黙秘権」
- 弁護士に相談できる「弁護人依頼権」
- 拷問や威圧的な取り調べを受けない権利
これらの権利は、警察や検察の権力の乱用を防ぎ、冤罪から市民を守る大切な役割を果たしています。

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