このシリーズは大学1年生向けに「ミクロ経済学」という学問はどのような学問か、というところから詳しく説明していくシリーズです。前回は経済学において無いと成立しない2つの要素「需要」と「供給」について説明しました。その中でも今回は、需要量をより詳細に分析していきます。
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とりあえず需要量をグラフにしてみよう
需要量をグラフにしてみると次のようになります。

この図のように需要量をグラフにしたものを需要曲線といい、右下がりの曲線として描かれます。これは価格が上昇すると需要量が減少するという需要法則を表現しています。イメージできない人は、マックに500円持って行って、200円のハンバーガーなら2個買えますが、400円のハンバーガーを1個しか買えないということを想定してみましょう(個々人の収入はすぐには変動しないためこの考え方は有効です)。なおここでは説明しませんが、この価格と需要量の関係を表にしたものは「需要表」といいます。
ところでこのグラフというのは、個人の需要と価格の相関関係を示したものです。いくら「ミクロ経済学」とはいえ、ここまでミクロな需要について分析するのはやはり不毛な議論です。そこである単位市場全体の需要量を取るにはどうすれば良いでしょうか。
全体の需要量、ということは「総量」を取ればいいんです(平均をとってもある程度分析結果は変動しないと考えられますが、趣旨と異なります。というのも、全体を分析したいということになりますから。したがって市場の需要とは、個々人の需要の合計によって表現されることがわかります。
需要曲線を動かしてみよう
需要曲線は動きます。というのも、需要量が何かといえば、市場にいる人たちが欲しい量のことですから、欲しい量が増えれば需要曲線は移動します。これを教科書的に説明するなら需要曲線の式のうち、消費者の購入に影響する変数を定数としているため、となります。したがって需要曲線が移動しても、多くの場合、グラフの傾きは変動しません。
具体例を考えてみましょう。自動車で考えてみます。例えば自動車の燃費が非常にいいハイブリッド車が、ガソリン車と同じ価格で発売されたとします。もちろん普通のガソリン車を買うよりも、ハイブリッド車を買った方が家計としてお得ですから、ハイブリッド車の方の需要が増えます。
この時の需要曲線の描画を考えてみましょう。同じ200万円の車でも買ってくれる人が増えていますから、個数が増えます。つまり同価格なら右にズレる。したがって先ほどの図と重ねますと、青色のグラフが緑色のグラフにずれます。

結果として需要量が増加していることを意味していますから、このように需要曲線が右側にズレることを含めて「需要の増大」といいます。なお具体例では簡単にするために触れませんでしたが、前提条件として「どの価格においても需要量が増大すること」が必要になります。だからポイント目当てに何円なら買いますよ、というような場合には、需要の増大とはいえませんので注意してください。
ここでは全く同じ説明になるので、詳しくは述べませんが、上図において需要量が、すべての価格において減少した場合、緑色のグラフから青色のグラフに移ります。このことを「需要の減少」といいます。
需要曲線を動かす原因
需要曲線が動く場合は次の場合があります。
所得
ここである高校生Aくんの所得を考えてみます。夏の間だけ、海水浴場で監視員のバイトをしていました。すると夏の間だけAくんの財布はパラダイスになるであろうということは、目に見えてわかります。したがって、たくさん買い物をしたくなるでしょう。すると結果的に所得は増えるだろう、ということがわかります。
関連する財の価格
Aくんの話を続けます。休憩時間中に海の家に行きました。するといつもに増してかき氷が人気なようです。どうやらアイスクリームが台風で入荷しなかったため、売り切れになってしまったようです。このように競合する他の財の状況によっても価格は変動します(売り切れになることは稀なので、急に価格が上がったとかという状況を基本的には想定します)。
嗜好
ルビーちゃーん?、でおなじみアイスクリームに話の軸を移しましょう。Aくん売り切れになるまでは毎日チョコミント味を食べていましたが、毎日食べてたので飽きてしまいました。ということでクッキー&クリーム味のアイスクリームが欲しくなってしまいました。このように需要の正体は人間ですから、人間の好みにより需要は変化します。
予想
話はまた変わって、海の家のアイスクリームになります。明日からセールをやります!、ていう時にアイスクリームをわざわざ買いますか?という話です。明日まで待とうかな…?と揺らぐ人が一定数いるでしょう。こういうことでも需要が減少したり、逆に明日から値上げってなったら、今日のうちに食べて明日は我慢する、という選択もするでしょう。
人数の変化
買い手の人数が大幅に変更しても需要曲線は変わります。例えば、普段はガラ空きの温泉街、正月になったら大忙しとかっていうことあると思います。これはそもそも温泉に宿泊したい人数(仕事とかがなくて宿泊できるよという人数)は大きく変化するためです。そのような事情で、人数が大幅に変化すると、需要曲線は大きく変化します。
グラフ分析の利点[確認]
- 市場の動きを視覚的に把握できる
- 価格や数量の変化が市場に与える影響を予測できる
- 政策介入(価格規制など)の効果を分析できる
- 市場の非効率性を特定できる
演習問題
- 「需要曲線」とは何か説明せよ。
- 2025年に任天堂から新型テレビゲーム機「Nintendo Switch 2」が発売された。この需要を分析することを考える。
- 需要が「増大」する要因と「減少」する要因を整理せよ。
- このゲーム機が発売されてすぐに、「高額転売」が問題となった。では通常の商品の販売では問題にならない「高額転売」が、なぜこの新商品の発売の時に問題になったのか、需要曲線と関連付けながら説明せよ。


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